SPECIALIST INTERVIEW

人気物件の条件

昨今、マンション購入の場面では資産性を重視する傾向がますます強まっているようだ。将来不安もさることながら、売却も視野に入れた物件選びが一般化してきたからだろう。資産価値の有無は、一言でいえば「需要をどれだけ取り込むことができるか」。新築マンションの人気物件に共通した要素からそのヒントを探ってみる。

人気物件の条件

昨今、マンション購入の場面では資産性を重視する傾向がますます強まっているようだ。将来不安もさることながら、売却も視野に入れた物件選びが一般化してきたからだろう。資産価値の有無は、一言でいえば「需要をどれだけ取り込むことができるか」。新築マンションの人気物件に共通した要素からそのヒントを探ってみる。

現在の新築マンション市場は二極化現象に拍車がかかっている。極端に売れ行きの良い物件はマイホーム需要だけでなく、相続税対策を目的とした節税需要や財産形成を重視した投資需要まで幅広く「買い」を取り込めるもの。代表的な条件を3つ取り上げる。

まずは「都心にアクセスしやすい沿線」であること。共働き世帯が増えたことから、通勤に便利な沿線に住みたいニーズは以前よりはるかに高まった。さらには、沿線上に利用価値が向上するような再開発等の計画があれば、なお関心を集めるだろう。

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次に「駅近立地」であること。通勤に有利はもちろん、駅周辺には生活利便施設が集積していることや賃貸需要(収益性)も期待できること、さらには用途地域が容積率の大きな商業系に指定されているケースが多く、評価額と実勢価格の差、つまり「節税効果」の期待も持てる場合があること。駅に近い不動産はそもそも希少性を帯びている等、駅近マンションには絶対的な魅力が数多く備わっている。

都立大学駅前
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最後に「信頼できる売主」であること。これには2つの潮流がある。ひとつは、偽造や欠陥等のリスクを抑制できる(または万が一のことがあっても責任をとれる経営体力がある)大手等実績のある売主を求める時代の流れ。もうひとつは信頼性に重きを置くシニア層(=買い替え層・買い増し層)がマーケットの中での存在感を高めてきたこと、つまり「マンション購入者の年齢層の変化」としての流れだ。いずれ売却することになった場合、「大手売主」とキャッチコピーに入れられることもプラスに働くだろう。

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マイホーム選びの基本は自分自身の条件に照らし合わせて選定すべきだが、資産価値も求めるとなると「他者が重視する条件」にも敏感にならざるを得ない。なぜなら、その評価は自己ではなく「市場(マーケット)が下すもの」だから。その意味で、繰り返しになるが「増加した共働き世帯の優先順位」と「存在感が高まるシニア層の指向性」については、押さえておきたい市場動向として認識しておいたほうがいい。

市況の概観を踏まえたところで、
「ドレッセ都立大学」の注目点を抽出してみる。

一つ目に「沿線力」が挙げられる。東急東横線の魅力のひとつは都心と横浜をつなぐ沿線であること。東京と横浜に勤務する共働き世帯の需要が相場上昇に寄与した事例は同線他駅で実証済。さらに進行中の渋谷駅周辺再開発群は沿線の魅力を引き上げるだろう。超高層ビルの建設(最も高い建物で地上約230m)や駅前広場等の再配置、防災力向上、さらには積年の課題だった歩行者動線の改良等、すべてが完了する2027年に向けて期待は高まるばかりだ。

再開発が進む渋谷

二つ目に「目黒区アドレス」が挙げられる。同区は閑静な住宅街が多くを占めることで知られるが、最寄り駅「都立大学」も「柿の木坂」「八雲」「中根」「平町」といった緑豊かな成熟した住宅地に囲まれたロケーションだ。駅周辺も賑やか過ぎず、落ち着いた雰囲気の店舗も散見できる。急行停車駅では得難い風情かもしれない。

柿の木坂(約500m/徒歩7分)

三つ目に「交通アクセスの良さ」がある。戸建て街ゆえマンション供給自体が多くないエリアだが、何より『徒歩1分』は中古流通市場においても高いプライオリティの源泉になるだろう。現地そばの「バス停」も好材料。複数のバス路線が収斂することから、「目黒駅」「二子玉川駅」等沿線以外の鉄道駅にも行きやすいポジションといえる。

二子玉川
「ドレッセ都立大学」計画地

四つ目に「売主が東京急行電鉄」であること。沿線に良好な住宅街を形成し、ターミナル駅にデパートを、郊外に教育・娯楽施設の誘致または建設もしながら、沿線居住者の暮らしを豊かにすることが電鉄の使命。したがって「鉄道会社が売主の分譲物件を買うこと」はマイホーム選びの定石ともいえる。「ドレッセ都立大学」では外観デザイン(とくに基壇部の意匠)にみられるように、立地特性を意識した設計上の工夫が随所に施されているようだ。高層ビルが多くない街並みでもあり、存在感のある建物になるのでは。

坂根康裕/住宅専門家

1987年株式会社リクルート入社。『都心に住む』『住宅情報スタイル 首都圏版』編集長を経て、2005年独立。現在はマンションを中心に取材、執筆等活動中。日本不動産ジャーナリスト会議会員。著書に『理想のマンションが選べない本当の理由』 『住み替え、リフォームの参考にしたいマンションの間取り』

日本不動産ジャーナリスト会議会員。著書に『理想のマンションが選べない本当の理由』 『住み替え、リフォームの参考にしたいマンションの間取り』

・このインタビューは2019年6月26日に実施した内容を掲載しております。
・2019年9月2日、東京急行電鉄株式会社は「東急株式会社」に商号変更いたしました。
・鉄道事業は、東急株式会社が100%出資する子会社が承継致します。

※掲載の環境写真は2019年4月・7月に撮影したものです。
※掲載の徒歩分数は80mを1分として算出し端数を切り上げたものです。